What New: 2011年1月アーカイブ

新年明けましておめでとうございます。


昨年は宮崎で発生した口蹄疫が九州地域を浸食、さらに全国へ飛び火するかと危惧しましたが、宮崎及び隣接地域の方々、また、自衛隊、全国からのボランティアの皆さんの奮闘努力により、宮崎県内で終息を見ることができました。

しかし、経済的なダメージは畜産と合わせて、農産、観光などあらゆる分野に及び、宮崎県は経済損失を2350億と試算しています。全国のレストラン、流通小売業などで宮崎の農産物等を使った宮崎県応援フェアを開催するなど多くの善意が寄せられていますが、壊滅的とも言える打撃を受けた宮崎県の畜産業界が復活するように、今暫く、宮崎県を応援するのが良いようです。

さて、昨年2010年11月14日にTTP(環太平洋連携協定:Trans-Pacific Partnershipまたは環太平洋戦略的経済連携協定:Trans-Pacific Strategic Economic Partnership Agreement)交渉参加9ヶ国の首脳による会合が、アジア太平洋経済協力会議(APEC)の最終日に横浜市で開催され、APEC議長である日本の菅首相もオブザーバーで参加をしました。

米国オバマ大統領が会合の議長を務め、2011年11月ハワイで開催されるAPECまでに交渉の妥結を目指すことを参加9ヶ国で確認をしました。

その後2010年12月6日~10日までニュージーランドのオークランドで開催された第4回目であるTTPニュージーランド・ラウンドへのオブザーバー参加を申し出でた日本ですが、会合は交渉参加国のみとするとの事で日本の参加は認められませんでした。

日本は未だTTPへの参加を表明していませんが、参加の意向を明らかにしているコロンビアとカナダもニュージランド・ラウンドへの参加は認められていません。尚、カナダについては米国と他の参加国から未だ準備が整っていないと通告を受けています。

※TTPとは2006年5月ニュージーランド、チリ、ブルネイ、シンガポールの4ヶ国間で発効した経済連携協定であり、加盟国間の経済制度、つまり、サービス、人の移動、基準認証などに於ける整合性を図り、貿易関税については例外品目を認めない形の関税撤廃をめざしている。

※現在の交渉参加9ヶ国:ニュージーランド、チリ、ブルネイ、シンガポール、米国、オーストラリア、ペルー、ベトナム、マレーシア

さて、菅首相は日本のTTP交渉参加に向けて関係国との協議に着手することを正式に表明しましたが、ご存じのように、農産、畜産、水産関連団体の猛烈な反対に遭いTTP参加を決議するまでには至っていません。

TTPという関税撤廃の自由貿易が日本を含め参加各国を豊かにする事は理解できても、確かに、今の日本に措いて農産、畜産、水産に従事する方々の首を絞めることに繋がるのは否めません。

日本のGDP(国内総生産)は2010年に中国に抜かれ3位になった物のそれまでは2位をキープし、裕福な国という事になっています。しかし、PPP(一人あたりの購買力平均)では世界の25位約3.4万ドルであり、1位のカタール約8.8万ドルの50%にも満ちません。

このPPPの3.4万ドルは物価や為替変動の影響を取り除いて算出された為替レートによりドル換算されています。日本は平均で一人あたり3.4万ドルの購買力を持っていると言うことです。しかし、物価を考慮していないと言うことは、日本のように物価、生活コストの高い国では、実質的に購入できるサービス、物品は生活コストの安い国と比べて少なくなります。

この高い生活コストを下げる為にはTTPへ参加する事が有効ではないでしょうか。衣食住この基本的な生活コストが下がれば、医療、福祉などのサービスコストも下げるでしょう。下がらないまでも可処分所得が増えますので、より多く、より良いサービスを購入することが可能となります。

また、TTPへ参加する事で輸入国の関税が撤廃され製品価格が下がり輸出を今まで以上に延ばすことでできるでしょうから、GDPは向上し個人所得が増えPPPを上げる事ができるはずです。

ちなみに、政府の各省庁の試算では農水省はGDP11.6兆円の損失と雇用340万人減(但し、農家の廃業による減産に未対策の場合)、経産省はTPPに不参加の場合は参加した場合に比べてGDP10.5兆円減と雇用81.2万人減(但し、韓国が米中EUとの間でFTA締結された場合としていますが、既に米国EUとは締結済みです。)、内閣府はGDP2.4~3.2兆円の増加と省庁により資産額が異なっています。

農水省の試算がそのままだとは思いませんが、確かに農林水産業は大きな、大きな打撃を受けるでしょう。しかし、関税撤廃の自由貿易は避けて通れない道筋です。政府の「食と農林漁業の再生推進本部」から始まる、政府の対策が農林漁業の再生を可能とすることを願いましょう。

さて、米国の動向を見てみましょう。NRA(National Restaurant Association:全米レストラン協会)よる、American Culinary Federation(米国司厨士協会)のメンバーである1527のシェフに対する調査では、2011年米国のレストラン、フードのトレンドは以下のようになっています。

相変わらずの健康志向ですが、栄養バランスの取れた子供向け食品の需要が増え、また、子供向けサイドアイテムへの野菜、果物を多用するなど、素材への関心が高まっています。素材への関心は、アレルギーフリー、栄養素などへの関心から合わせて作り手への関心が見て取れます。

また、産直素材への関心、合わせて、オーガニック素材、産直素材を使った熟練職人によるチーズ、ハムなど加工食品への関心も増えています。さらに素材への関心は、シェフ自ら菜園、農場を持つレストランの増加と、顧客の支持の増加に繋がっているようです。

この地元産、作り手への関心が、地ビール、地ワイン、更には手作りリキュールとアルコール飲料であるハードドリンクにまで広がっています。

また、ソースなどの加工食品であっても、レストランの自家製ソース、新鮮素材による作りたてのソースへの関心が高まっています。

更には環境問題への関心が、サスティナビリティー、サスティナブル素材への関心、その一つの現れ方はスモールポーション。量を減らして価格を安くと言う顧客の要望もあるようですが、それに加えて健康の為の食べ過ぎ防止と、食べ残しによる食材破棄をなくすことで環境負荷を低減させる事への関心となっているようです。もう一つは基本に戻ったシンプルクッキングの潮流もあります。

しかし、それとは異なった、新しい素材の扱い方への関心もあり、例えば紙のように薄く加工したポーク、柔らかく小さく加工したビーフなども好まれているようです。また、アジアの調味料、中東のスパイスなどを使ったエスニック風味の朝食が顧客から望まれ始めています。

と言うように、日本のフードビジネスのトレンドと重なるところが大いにあります。また、それとは違ったトレンドもあるように思えます。

さて、日本で昨年のトレンドは低価格です。1000円でべろべろに酔える、1000ベロ居酒屋の台頭がそれに当たるのでは無いでしょうか。居酒屋ではありませんが、300円均一のバーと言えば銀座300(スリーハンドレッド)がその先駆けだと思います。そのフォーマットを参考に、今では、大手居酒屋チェーンも300円均一、280円均一などに参入しています。

また、15分単位で飲み放題食べ放題の定額制居酒屋(15分375円)もできています。更には、酒を売るべき居酒屋で焼酎が無料という信じられない店まであります。無駄な宣伝広告費を使うくらいなら、その費用を顧客に還元するという事のようです。確かに、少額の宣伝広告費に費用では費用対効果の面で思うように顧客を取ることができず、「焼酎無料」というインパクトのある口コミが広がる方が顧客を獲得する事ができるでしょう。

しかし、先日TV番組で、270円均一の金の蔵Jrなどを展開する三光マーケティングの平林社長が、次の展開を模索、低価格居酒屋の次の手を打ち始めているらしい話しが見えました。また、フードビジネスを取材するジャーナリストの方々の中にも、低価格居酒屋の次の芽を見ている方もいます。

確かに低価格居酒屋も少し行きすぎの感がありますし、低価格にこだわる為、インテリアは二の次になっているところも見受けられます。

安く酒さえ飲めればよいと言うお客様もいるでしょうが、そうでないお客様が多いはずです。高級店には行かないけれど、安く、実質一辺倒と言うのではなく、仲間、友人と酒を飲むと時に少しは遊びが欲しと思うのがお客様です。と言うことで、1000ベロ居酒屋の反動として、プチリッチな店を求める声が聞こえてきます。

しかし、銀座の300(スリーハンドレッド)は決して、価格だけの店ではありません。欧米であれば、ホテルのバー、或いは街角のバルで一晩中でも立って飲みながら話しをするという場面を多く見受けます。つまり、酒を飲む事だけを目的とした顧客の為の店ではなく、友人、仲間とコミュニケーションをはかる場所でしょう。

でなければ、これから食事をするのに喫茶店で待ち合わせするよりは食前酒代わりに飲みながら待つとか、ちょっと時間が開いたのでとか、食事が終わって、場所を変えてその後もう少しという様な使い方の店ではないでしょうか。或いは酒屋の一角でちょっと一杯ひっかける角打ちのような使い方でしょうか。顧客にとって1000ベロ居酒屋の使い方とは違っています。

と言うことで、均一価格の低価格居酒屋は少し顧客離れが進むかも知れませんが、立ち飲みでリーズナブルな価格で本格的な料理を食べて飲めるスペイン・バル、イタリアン・バール、スタンディングバーの需要はまだまだ伸びるでしょう。

さて、それとは別にB-1グランプリで多くの人を集めるB級グルメの人気が全国に広がっています。料理にはA級とかB級とか上下のランクがあるわけではありません、B級という言い方はよした方が良いと思いますが、B級グルメは地方の独自素材を使ったカジュアルな料理であるご当地グルメと言うことです。日本各地にそれぞれ多くの人々に愛される料理があり、村おこし、町おこしの為、B-1グランプリなどのイヴェントは、ますます活況を呈して頂きたいものです。

昨年のヒット商品にはノンアルコールビールがあります。ビールを飲みたいが、ドライブ中とか、仕事中、ジュース類では食事に合わないなど様々な場面で飲まれているようです。それと違いますがハイボールの人気復活も見逃せません。シュラスコ料理のバルバッコ、モーモーパラダイスなどを展開するワンダーテーブルが「南青山ハイボール 月の兎」、たこ焼きの築地銀だこが「ギンダコハイボール横丁」などハイボールの名前を使った店を営業しています。

飲食ビジネスからは少し離れますが、スイーツの「生(なま)、半熟」が人気を博しています。生カステラ、半熟カステラの人気で、半熟、生を冠したクッキー、ロールケーキ、バウムクーヘン、ドーナツなど生スイーツ、半熟スイーツです。

また「食べるラー油」のヒットは眼を見張る物が物がありました。今では各地の素材を使った多くの「ご当地食べるラー油」を目にすることができます。あるテレビ番組でアイドルグープAKB48の総合プロデューサーである秋元康に「食べるラー油の次に来るヒット商品は何でしょう?」と問うた時「同じ系統の物はヒット商品を越えられない、別の確度から見た、別の系統の物がヒットするでしょう」と応えていました。

司会者がさらに「秋元さんならどんな物を開発しますか?」という問いには言葉を濁して答えませんでした。そりゃあ、そうでしょう。企画を立てる事をビジネスとする人に対する問いかけではありませんね。

さて、ここ数年、居酒屋甲子園、S-1グランプリなどいろいろなイヴェントが開催され、そこで上位を獲得する為に、いろいろな仕掛けを作る、コンテストの為の店作りという面が見え始めているように思います。お客様に楽しんでいただくのも良いのですが、少し無理な演出が目につき始めていませんか。

演出が強すぎますと、話しの種に一度は面白いのですが直ぐに飽きてしまいます。期間限定のイヴェントなどではそれも良いかも知れません。と言いますか、期間限定であれば派手にお客様を楽しませる仕掛けが必要です。しかし、ディズニーランドのようなアミューズメント施設はどんどん新しい仕掛けを開発し、新しい設備を整えてお客様を飽きさせることなく楽しませています。

同じ事を飲食店ビジネスで行なうのには無理があります。毎年毎年、店舗を改装したり、あらたな仕掛けを作るわけには行きません。演出を控えて、長く色あせぬコンセプトを作り、お客様が穏やかに寛げ、一時の繁盛ではなく永続させる店を作ることがお客様の為になり、また、取引先、スタッフの為にもなるのです。

と言う事で、イーコンセプトの掲げる今年のキーワードは

2006年:「フード」「ムード」「ハード」「ノード」「カード」の「ドッドッド」
2007年:「境界」「驚嘆」「共感」の「キョウ」
2008年:「活気(かっき)」「活句(かっく)」「滑沢(かったく)」の「カツ」
2009年:「満足、魅力、無敵、明快、目標」の「まみむめも戦略」
2010年:「つ=土の香り」「と=飛びっきり」「い=一番店」twitterのツイートならぬ「ついと戦略」

に続きまして、さ=賛同、し=しなやかさ、す=素直、せ=成果、そ=素材の「さ、し、す、せ、そ」戦略です。

お客様の「賛同」を得ることのできる、「素材」の力を活かしたメニューと、来店されたお客様に直ぐ〝このお店好きかも〟と思っていただける、「素直」で解りやすく「しなやかな」店作りで、取引先、スタッフ、全員の協力を得て、確実に「成果」を得ることのできる店を作り致しましょう。

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